統合医療(Integrative Medicine)とは

近年の医学・医療の目覚ましい進歩ならびに生活(衛生)環境の整備と相まって、現行の疾病構造は急性疾患から生活習慣病中心の慢性疾患へとシフトしている。

その結果、我国はどの先進諸国よりも先立って超高齢社会(65歳以上の高齢者数>全人口の21%)に突入している。そうした中で国民医療費は40兆円を超えて年々右肩上がりの高騰を続け、このままでは国民皆保険制度の破綻が危惧されている。

それら生活習慣病の病態は身体的、心理的、環境的、更には社会的な要因などが相互に関連する“複雑系”であり、近代西洋医学だけでは自ずと限界があり、新たな医療体系の構築が必要である。

すなわち、キュア(cure)を目指した、20世紀の「病院完結型」医療から、ケア(care)を目指す、21世紀の「地域完結型」医療(地域包括ケア)へのパラダイムシフトが考えられている。

そこで、現行の医療と補完代替医療(CAM)を有機的に融合させる統合医療(integrative medicine)は、これからの医療の方向性を示す一つの医療体系と考えられている。

6年前の未曾有の東日本大震災が引き金となり、日本の医療が変わろうとしている。

この大震災では、医療過疎地域を広範囲に直撃し多くの犠牲者をだし、ライフラインが断たれ取り残された方々は慢性疾患を有する高齢者であり、さらに想定されない津波と原発事故という、究極のストレス下では薬剤がほとんど機能しなかった。

その結果、西洋医学万能説が覆った。

個々人の価値観や人生観に変容をもたらし、自らの健康は自らで管理しようというセルフケアの意識が芽生えている。また、エネルギを使わないエコ医療の重要性も指摘された。

患者さんは、わが国の医療における診断・治療技術の優位性を認めるものの、現状の医療に対して決して満足していない。

患者さんは各々の生活の質、すなわちQOL(quality of life)を第一義的に考え、そうした観点からさらなる医療の質の向上を求め、また費用対効果の高い医療を望んでいる。

従って、高齢者医療(メタボ、ロコモ、認知など)や大規模災害(天災、人災)後の後遺障害など、これまでの医療の枠では充分に対処できない領域があり、これらがまさに統合医療に求められるところである。

政府もこうした背景を受けて、統合医療に対して本腰を入れ始めた。

厚生労働省は先ず2013年度に「統合医療」の在り方に関する検討会を開催し、「統合医療」を、「近代西洋医学を前提として、これにCAMや伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うもの」と定義した。

それを受けて、現在、国民に統合医療の正しい情報を発信するデータベースを作成する事業が始まっている。

一方、2015年4月から新たにスタートした日本医療研究開発機構(A-Med)の枠組みの中では、統合医療に関する研究助成の枠がこれまでの約10倍に増額された。

統合医療の実施にあたり、2つのモデルが考えられている。

一つは医師中心の集学的チーム体制で疾病に対応しようとする医療モデルであり、もう一つは地域のコミュニティが主体となってQOLの向上を目的とした社会モデルであり、これら両面から検討し、その上で相互に連携した新たなコンソーシアムの創生が必要となる。

今後は臨床研究を推し進め、その結果得られたエビデンスを医療の現場や地域のコミュニティに還元していくことが必要である。

さらには、欧米の統合医療的アプローチをそのまま継承するのではなく、我が国の風土に合った日本型の統合医療を開発推進していくことが求められおり、持続可能な健康長寿社会の実現が期待される。

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